欠神発作


 欠神発作は定型欠神と非定型欠神の二つに分類されます。
定型欠神は、プチマール (petit mal) ともよばれ、主に小児期に見られます。
患者さんは数秒間意識がなくなり、すぐに回復します。
一瞬動作が止まったり、持っているものを落としたりします。
 

 脳波を記録すると、3Hz (ヘルツ、一秒間の波の回数)の棘徐波が全誘導にきわめて整然と反復して出現します。
この3Hzの棘徐波を伴う定型欠神は、バルプロン酸(デパケン、セレニカなど)またはエトスクシミド(エピレオプチマル,ザロンチン)が著効を呈し、
この薬の服用のみで発作が止まることがほとんどです。
しかも、大部分は思春期頃までには発作は自然に消失してしまう、比較的たちのよいタイプのものが多いことで知られています。

 これに反して、非定型欠神はこれのみが単独で起きることは珍しく、転倒発作などの重症なてんかん発作に付随することが多いようです。
脳波ではしばしば棘徐波が見られますが、定型欠神の時のような形の整った3Hz棘徐波ではなく、2-4Hzの帯域を持った不規則な波形が一般的です。
非定型欠神の症状も定型欠神に類似していますが、そのほかの大きな発作の合間に、ときどき患者さんが数秒間ぼうっとすることが多く、脳波所見と合わせれば、両者を区別することは容易です。
非定型欠神に転倒発作や全身けいれんなどを伴うときは、小児では、精神運動発達の遅滞につながることがあります。
抗てんかん薬で発作がコントロールされないときは、外科的治療を考慮すべきです。
手術の時機を逸して大脳機能の荒廃が極度に進行すると、手術をしても大脳機能の回復が余り期待できなくなります。




(文責) 清水弘之 (日本てんかん学会専門医・指導医)

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